フィラリア症の予防について

毎年、蚊が発生する時期はフィラリア症に感染する可能性があります。

感染する時期は、蚊が飛んでいる時期とは多少ズレがあります。美里町周辺の地域では

蚊は4月頃から見かけるようになりますが、刺されて感染が成立するのは、5月中旬頃から

(気温18℃以上が1ヵ月以上続いた頃から)です。また、感染は外気温がフィラリアの仔虫

(ミクロフィラリア)が成長出来なくなる温度(14℃以下)になる11月頃まで続きます。

感染の経路は、フィラリア症に感染している犬の血液(ミクロフィラリアが含まれる血液)を

蚊が吸血して、蚊の体中にミクロフィラリアが入り、蚊の体中で感染能力を備え付けたミクロ

フィラリアが、蚊が吸血した際に針先から犬の皮膚の下に侵入して感染が成立します。

犬の皮膚の下に感染したミクロフィラリアは徐々に成長しながら血管に入り、血液中を循環し

最終的に心臓に寄生します。感染してから約6ヶ月でフィラリアは成虫になり、ミクロフィラリア

を血液中に生むようになります。

予防方法は?

実際には「予防」というよりは「定期駆虫」という言葉のほうが理解しやすいと思います。

フィラリアの予防薬としては、錠剤・チュアブル(肉のかたまりに薬が混ぜてあるタイプ)・滴下剤

(ノミの予防薬に似ています)・注射(6ヶ月効果が持続)があります。これらは全てミクロフィラリア

を死滅させる駆虫薬です。薬の効果は注射を除いた他は、内服もしくは滴下した当日と翌日くらい

しかありません。したがって、内服もしくは滴下した日に体内に感染しているミクロフィラリアを駆虫

するだけであって、翌日に蚊に刺されれば感染する可能性はあります。しかし、その感染は1ヵ月

後に飲ませる薬で駆虫出来ますのでご安心を・・・。

フィラリアの予防薬で駆虫できるミクロフィラリアの大きさには限りがあり、確実に駆虫できるのは

感染してから1ヶ月ないし1ヵ月半くらい成長した虫までです。それ以上成長した虫に対しては駆虫

効果は不確実です。

以上の理由から、

感染が始まってから1ヵ月後の6月初旬から、感染期間が終了した12月初旬まで、毎月1回フィラ

リアの予防薬(駆虫薬)を投薬することで、愛犬をフィラリアの感染から守ってあげることが出来ます。

 

フィラリア予防の方法(毎年の繰り返しです)

4月〜6月 前年度にフィラリアに感染していないかどうかの血液検査を実施・薬処方

6月〜12月 月1回、適切なフィラリア予防薬を投薬

12月〜3月 お休み

※フィラリア症感染の有無を調べるには、抗原血症、ミクロフィラリア血症を発現していないかどうかを

血液検査で調べます。それぞれ感染後、約5ヶ月と6ヵ月半経過しないと陽性を示さないので、早すぎる

検査は前年の最後の感染を見落とす可能性があります。したがって、昨年までフィラリア予防を実施して

いなかった犬や、昨年の最後の予防薬を飲ませ忘れてしまった犬は、なるべく投薬開始の6月になる直前

くらいに検査に来院することをお奨めします。また、昨年12月以降に生まれた子犬は今年の検査はしない

で薬を始められます。成長に合わせて毎月体重宛でお薬を処方します。

 

不明な点は、来院時に問い合わせ下さい。

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